ひ香先生、今回も最高でした!
「まずはこれ食べて」っていうから、何か美味しいものの話かと思ったら、さすがひ香先生。
それだけじゃなかった。
深い。

「まずはこれ食べて」は大学仲間で起業した男子4人と女子1人とアルバイト女子1人と家政婦1人の人間模様を丁寧に綴った物語です。
大学仲間で起業した会社が軌道に乗ったころ、アイディアマンの天才肌の柿枝が失踪します。
仲間たちにとってかけがえのない人だったのに、急に居なくなったのはなぜ?
その後、仲間たちは30代になりそれぞれ自分の生き方に直面していきます。
十人十色の人生と考え方がありますが、それぞれの立場で悩む人たちに対して、自然と力まずにニュートラルに接してくれる家政婦の筧さん。
しかも最後にきっちり答えを出してくれるところも素晴らしい。
10代の悩み、20代の悩み、30代の悩み、40代の悩み、50代の悩み。
人生のなかで人間関係で悩むことって多いですよね。
自分の対応や考え方を少し変えてみるだけで解決する小さな悩みから、他者が関与することによって自分をどうこうするだけでは解決しない悩みまでさまざまです。
自分の背景があって、他者の背景があって、誰もわかってくれないと思うときや、見ている人は見てくれていたり、それが交わることもあれば、平行線なこともある。
30年くらい生きていると、人に対して色々感じることがあります。
人の深みや浅さ、優しさや狡さ。
ひ香先生はそんな人間味を丁寧に物語にして、平易な言葉と構成で読み手にスッと読ませてくれるところが素晴らしいと思います。